ShiftCamで鎌倉・湘南散歩

写真・文 / 大門美奈

2019年の年末、今まで使用していた「iPhone 8 Plus」から「iPhone 11」に買い替えた。

新しいガジェットというのは嬉しいものである。カメラ機能ではさらに画質も向上し喜んでいたのも束の間、なんと「iPhone 8 Plus」でよく使用していた望遠レンズが「iPhone 11」では広角と超広角レンズのみで、望遠レンズがついていなかったのだ。

さらにもうひとつ困ったことがあった。私はスマホ等にはケースなどは使用しない、いわゆる「裸族」であるが、硬度が高いサファイアクリスタルを使用している「iPhone 11」のレンズは本体よりも若干突き出ているため、鞄などに入れておくと他の機器を傷つける恐れがあったのだ。そんなときに私の手元にやってきたのが、レンズ交換式 iPhone ケース「ShiftCam(シフトカム)」と、ShiftCam(シフトカム)プロ望遠レンズである。

ShiftCam(シフトカム)」ケースはかなり密着度が高い。当然「iPhone 11」の厚みは増すが、カメラ機能を使用しないときにはカバーが装着できるようになっているため、安心して鞄に放り込むことができる。

iPhone 11用のレンズ交換式 iPhone ケース「ShiftCam(シフトカム)」で使用できるレンズは全部で3種類。「CPLフィルター」と「180°魚眼レンズ」、それから「10倍マクロレンズ」である。試しにいつも行く居酒屋で「10倍マクロレンズ」を試してみたらあまりに寄り過ぎて、うっかりお刺身にレンズが触れてしまうなんてことがあった。マクロレンズで食べ物を撮るときには注意したい。

 

iPhone 11で撮影 / アプリ:VSCO 使用

 

ShiftCamプロ望遠レンズ / iPhone 11で撮影 / アプリ:VSCO 使用

 

よく晴れた休日の朝、早速iPhone 11ShiftCamケースをつけて鎌倉へ向かった。目当ては評判の朝ごはん専門店。店へ到着したのはまだ8時半頃だったが、私が席についた時点ですでに満席。人気店らしい。

どこか懐かしさを感じる店内でくつろぎながら、ほどなくして出てきたのは焼き鮭のセット。早速iPhone11を取り出してぱちり。狭いスペースでも全体が写り、悪くはないが、やはり広角レンズの歪みが気になる。炊きたてのご飯を口いっぱいに頬張りたい気持ちを抑えつつ、ShiftCamプロ望遠レンズを装着してもう一枚。そうそう、これである。お膳全体が写らなくても良いではないか。私はこの年輪のような柄の美しい鮭の切り身が撮りたかったのだ。

 
iPhone 11で撮影 / ポートレートモード / アプリ:VSCO 使用

ShiftCamプロ望遠レンズ / iPhone 11で撮影 / ポートレートモード / アプリ:VSCO 使用

 お腹がいっぱいになったので、鎌倉の街へ散歩に出かける。ちょうど成人の日ということもあり、晴れ着を着た女性がちらほら。由比ヶ浜方面に向かおうと若宮大路へ出たところ、散らずに残っていたソメイヨシノの葉が風に揺れていた。もう新芽が出てきているというのに、いじらしくなって撮影。背景がやや煩かったのでポートレートモードを使用したが、広角レンズで近寄れるのはここまで。ここでもShiftCamのプロ望遠レンズを取り出してみた。そういえば望遠レンズを使用したうえでポートレートモードにすることは可能なのだろうか、と試してみたらこちらも問題なく使用できた。朝の光に照らされた鮮やかな葉が浮き上がって、印象的な一枚となった。 

iPhone 11で撮影 / ポートレートモード / アプリ:VSCO 使用

 海へ向かう途中、八百屋の店先にあった果物を撮らせてもらった。つやつやと何とも美味しそうである。「これだ」と思ったときにすぐスナップできるところがスマホで撮影する楽しみのひとつだ。

 

180°魚眼レンズ / iPhone 11で撮影 / アプリ:VSCO 使用

 15分ほど歩いただろうか。由比ヶ浜海岸へ出た。快晴ということもあり、かなり日差しが強い。この冬はあまり波がなく休日もサーフィンできない日が続いていたのだが、この日は小波ながらきれいな波があり、ここぞとばかりにサーファー達が浜に集まっていた。広いものをより広くということで、ここでは「180°魚眼レンズ」にシフト。ちょうどこれから海に入るロングボーダーが横切ってくれたので、良い画になった。強い光を放つ太陽も入りこんで、写真だけ見たらまるで夏のようだ。

Phone 11で撮影 / アプリ:VSCO 使用
10倍マクロレンズ / iPhone 11で撮影 / アプリ:VSCO 使用

 

ふと足元へ視線を移すと、貝殻が細かく砕け色とりどりの世界が広がっていた。私が暮らす黒い砂浜とはずいぶん違うものだと思いつつ、「180°魚眼レンズ」からひとつレンズをスライドして「10倍マクロレンズ」を使用。スライドするだけでレンズを使い分けできるのもShiftCamの良いところである。何気なく撮った足元の風景のなかに鮮やかな貝殻が落ちていたので、その貝殻に寄って撮影してみた。そういえばうっかり10倍マクロレンズが触れてしまった刺身は、同じような色味をした赤身だったなとふと頭をよぎる。 

ひとしきり浜で撮影を楽しみ、鎌倉駅へと戻る。休日だけあって、11時近くともなると小町通りは観光客でいっぱいだ。鎌倉での撮影は切り上げ、今度は小田原へと向かうことにした。

 

iPhone 11で撮影

CPLフィルター / iPhone 11で撮影

 小田原駅を降り、向かったのは小田原城内にある報徳二宮神社。城を通り、白い提灯の並ぶ小道を抜けるあたりに美しい木造の回廊がある。ここでは超広角モードを使用したが、下から見上げるようにして撮影していることもあり、青みがかったフレアが盛大に入り込んでしまった。そこでここでは「CPLフィルター」を使用。CPLフィルターを使用した写真ではフレアが無くなっただけでなく、フリンジや窓ガラスへの写り込みも軽減されているのがよく分かると思う。

境内ではまだお正月ムードが残るなか、多くの人々が参拝の列を作っていた。気持ちの良い天気のなか、皆晴れやかな表情をしていてこちらまで楽しくなってくる。冬は厚着になるため、どうしても大きなカメラを持ち出すのは億劫になるもの。そんなときはShiftCamと小さなレンズを入れて出かけるのはどうだろうか。気軽なスマホ撮影ながら、レンズ交換の楽しみも味わいつつ、いつもの写真がワンランクアップする。ちょっとそこまでの日帰り旅行をより楽しめるはずだ。

 

プロフィール

神奈川県出身。2011年より写真家として活動をはじめる。作家活動のほか、カメラメーカーをはじめ生活雑貨メーカーやアパレルブランドとのタイアップ企画などに参加。個展・グループ展多数開催。写真集に「浜」(赤々舎)などがある。International Photography Awards 2017および2019にてHonorable Mentionに選出。

                     

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